この絵は、「美人画」というタイトルです。

 どこが? そう思われる方が、今世紀に死んだ犬の数よりも多くいらっしゃるでしょう。そこで、つぶさに解説させていただきます。

 美しい。この言葉の意味です。美しいとはそもそも良いとか、優れているを意味する言葉です。したがって、キレイの意味だけではないのです。そこから考察して、美しいという言葉の拡大解釈を謀りました。

 では、何が優れているのでしょうか? それは彼女の存在です。何とも言えない存在感を持っている彼女のパワーです。野性味と言えば野性味。ただ、それだけにとどまらないのです。緑を超越した顔は、不倶戴天。堂々とした様子です。まさに誰にも負けないという自信。それを証明してくれるのは微笑みです。何とも言えない微笑み。優美とも、可愛げがあるとも違う。何とも言えない微笑みなのです。

 今回は色を斜めに切り取るという手法を使いつつ、彼女の斜めの姿勢を浮き彫りにさせています。点画のようになっている部分で、抽象と具象の裂け目という感じを現します。この抽象と具象の境目にこそ、僕は荒々しさ、すなわち野性味を託したのです。